2017年 店舗日記/案内と雑記

当サイトにお越しいただき、ありがとうございます。
ここでは、日々の出来事や思うこと、お店の予定など、思いつくままに記しています。


12/30/17 今年も1年ありがとうございました

来年もたくさんの「ありがとう」に出会えるよう、精進いたします。


12/6/17 びしょ濡れになった靴のお手入れ

革は油脂を含んでしなやかになります。買ったばかりのスポンジと水を含んだスポンジの違いと思えば良いでしょう。ただし、水よりも蒸発しにくい油を使う、ということです。銀面からしなやかさが失われると、曲げ伸ばしの際にパリッと割れてしまう。皮革製品の中でも特に靴はお手入れが必要です。

「靴磨き」ではなく「靴の手入れ」という考えも浸透してきましたね。

まずは緩い油を染み込ませます。デリケートクリームをまんべんなく塗りたくります。

クリームが染み込んでいる様子が見えるので、充実感がありますね。

乾いたら拭き取ります。雨に濡れて油が抜けてパサパサになっていたので、今回は3回ほど繰り返しました。

次は乾きにくい蝋を擦り込みます。乳化性クリーム。今回は油を多めに入れたいので、布を使いました。布を使ったり、ブラシを使ったりしますが、いずれにせよ薄く伸ばすのがコツです。

乾いたら拭き取ります。布にほぼ移らなくなるぐらいまでしっかり。

屈曲部では履きじわを伸ばしてよく拭き取ります。屈曲部は革の負担が大きく、油が抜けやすい一方で、クリームの拭き取りがあまくなりがちです。弱い革だと、固まったクリームが糊になって、折れ曲がった銀面をくっつけてしまい、革がパリッと割れてしまうことがあります。お手入れで一番気を遣ってほしいところです。

防水のために、甲とウェルトの間にクリームを擦り込みます。ひと手間で安心感が全然違います。

拭き上がりました。自然な艶が出て、気持ち良い。ここまでがお手入れの基本になります。

次に使うときに備えて、ブラシに残ったクリームはよくぬぐっておきます。蝋の固まったブラシが甲革に小傷を付けてしまうことがあります。クリームがちょっともったいないとは思いますが、革を傷つけてから後悔するよりはずっといい。

爪先と踵周りの芯材が入っている箇所にはワックスをかけておきます。いわゆるポリッシュ。元来の役割は防水です。もちろん艶も魅力、です。

仕上がりました。お手入れ、手間はかかります。が、手間をかけた分だけ長持ちする、自分の靴になっていきます。今どきはプロのお手入れ屋さんもいらっしゃいますから、面倒と思うなら依頼してみるのも良いと思います。


11/23/17 雨でびしょ濡れになった靴の掃除

10月の手作り市は、雨の中の出展でした。靴屋なので自作の靴を履いて行きます。当然、濡れました。普段から雨用と決めて履いている靴ではありますが、残念な姿になってしまいました。こういう時には慌てずじっくり手入れをします。

休みの日に手入れをしたので、その手順を紹介します。

ぐっしょり濡れたチャッカーブーツ。ハーフラバーを貼っていますが、中底まで雨が染みています。まずは乾かします。そのまま放置。「型崩れを防ぐために丸めた新聞紙を入れる」とかはしません。乾きが悪くなるだけです。

風通しが良い場所=工房に1週間放置しました。私が動き回って空気が動くのでよく乾きました。家の玄関は意外に空気が動かなくて乾きにくいものです。人の気配がする場所の方が乾きやすい。それにしても、砂だらけの泥まみれです。

普段は使いませんが、手入れの時にはシューキーパーを入れます。先が2つに割れていないものを選びましょう。2つに割れたものを入れて布で強く磨くと、角が当たって変な縦線がつきます。

砂と泥をブラシで落とします。馬毛ブラシは心もとないですが、革にはやさしいです。

アッパーとコバの間は歯ブラシで汚れを掻き出します。頑固に挟まった砂は目打ちや爪楊枝などで取り除きます。

まだ泥汚れが残っていますが、ブラシだけならこの程度でしょう。

残りは固く絞った雑巾で拭き取ります。せっかく乾かしたのにびしょびしょに濡らさないように。雑巾を縦にして絞ると、よく絞れますよ。

早く乾かしましたが、それでもちょっとだけアオカビが発生。新聞紙なんか詰めていたらもっと生えていたでしょう。

一番カビが生えるのは底材、特にヒールの前面が生えやすいのですが、思ったよりマシでした。

消毒用アルコールで拭き取ります。キッチンペーパーに含ませて、拭き取ってポイ。キッチンペーパーはボロボロのくずになりにくいので、靴に限らず掃除の際にはとても便利です。

掃除終了。手入れして、抜けてしまった油分を革に入れてあげたいところです。

<お手入れ編に続く>


11/16/17 手作り市は作家さんが出ているのです

昨日は久しぶりに晴天の下の露店でした。今年はずっと天気に恵まれなかったこともあり、出展者にも来場者にも笑顔が多い気がしました。

私のブースで難しい顔をしていたら「何かお探しですか」と尋ねます。よく聞くグッズで具体的に難しいのが2つあります。

1つは「ひも」です。革という不安定で不規則な形の材料から、傷がないように長尺物を複数切り出すと、大きな島ができてしまう。歩留まりが極めて悪いのです。そして、真っ直ぐを長く切り出すのも、真っ直ぐ長く縫うのも難易度が高い。ですから、革の紐は専門の業者があります。どこまで仕上げるかは依頼次第、安価を求めるならばそれなりでしょう。一方で、ビニールや合成皮革みたいに、均質な材料の得意分野ではあります。合成皮革の紐がボロボロになったから、本皮の紐を同等の値段で入手する、それは高望みに過ぎると、いつも思います。

もう1つは「ずっと使ってて気に入っている形」の財布。不景気の波は、物品の量産化を進めました。洋品小物ではここ数年、特に加速化しています。流行物に偏っていますね。以前も書きましたが、量産=個別対応しないこと、です。以前は作っていた財布が見当たらなくなった、そういうことは非常に多いです。探し回って見つからないのならば、注文した方が早くて安いと思います。オーダーメイドに腰が引けるかもしれませんが、量産屋さんは一品物を作ってはくれません。

せっかく作家さんが集まっているのですから、ただ探し回るのではなく、気に入った作風の作家さんに相談してみればいい、そう提案します。複数に見積もってもらって、選んでも良いと思います。私のところではなくても、お客様が納得できる”出会い”があったら良いな、といつも思います。


11/3/17 ビスポークシューズの吊り込み

鋭意作製中。靴の形になっていく第一歩。


10/15/17 雨中の露店

手作り市は、一日中、雨にたたられました。秋の日曜日ということもあり、来場者は多く、遠方からのお客様にはちょっと残念だったかもしれません。そんな中でも「大変ですね」と声をかけられたりして、人の温かさを感じることもしばしばでした。熱心なお客様もあるもので、製品のことについて、皮革について、場合によっては雑貨の買い物の仕方について、いろいろな疑問・質問に問い合わせを受けたり、刺激をいっぱい受けて、良い気分転換になりました。お客様との対面は尽きることのない楽しみです。当工房の製品をお買い上げいただいたお客様には殊更感謝いたします。


9/23/17 ヴィンテージスチールを付けてください

ずいぶんと更新を怠っていて、多方面より「大丈夫か?」とのお言葉をいただいています。心配していただき、申し訳なくもありがたいことです。ちょっと受注が重なって、靴製作に集中していました。写真撮影も忘れて没頭、個別対応の醍醐味と厳しさゆえのことと思っていただきたいです。

さて。

ビスポークシューズにヴィンテージスチールのご依頼。以前、ちょっと昔は「メタルトゥチップ」と言っていた覚えがあり、市販品なのにヴィンテージ? と違和感がありますが、この呼称で定着しているみたいです。

ハーフラバーを張った上にトゥチップを取り付けました。滑り止めと防水のゴムシートの爪先部分をごっそり剥いでしまうと機能的ではないので、ラバーを薄く漉いてみました。チップをビスで取り付けますが、市販の状態のまま(左)だと微妙にビスの頭が飛び出してしまいます。なので、座ぐりを少し広げました(右)。

ビス頭の具合もラバーとの噛み合わせもまずまず一体感が出て、手間をかけた甲斐はありました。

滑る、カチカチと音が鳴るなど欠点はあります。当然ですが、取り付けた翌日には錆び始めていたりします。爪先の磨耗防止の機能はありますが、「格好良い」のが依頼の動機みたいです。好み、主観には応じます。

こちらは別口。偶然の連続依頼でした。格好良い、らしい。

最近のちょっとした流行みたいですね。


7/1/17 今回は普段履きで

「仕事で履いて、普段履きもできて、冠婚葬祭でも履ける靴」

とても多い要望です。靴のデザインには歴史と意味合いがあります。微妙な形の違いでフォーマル感/カジュアル感の雰囲気が変わってきます。本日、靴を納めさせていただいたお客様も、最初の要望はそうでした。

考えると、祭礼も遊びも同じ格好、同じ靴というのはマナーに反するのでは、と思い至ります。上司と飲みに行くのもデートするのも同じ格好ですか? と説くと、ニッと爽やかな笑顔を添えて「じゃあ、今回は普段履きで!」

爽やかですね、さすがスポーツマン、なんて思っていると・・・・・・、

「じゃあ、赤で!」

あか? ア・カ? 赤! 

「赤と黒のコンビにして、デザインはどうしようか」とサンプルシューズの物色を始めました。シンプルなオックスフォードを手に、こんな感じでとおっしゃるので、プレーンなサドルシューズに決定。

ステッチは?  「赤で!」 もちろんそうですよね。

フォーマル感のある木型で、カジュアルな素材でコンビの靴。作る前から格好良く仕上がることは分かっていました。革靴は高級品とかしこまらず、普段履きに良い物をと割り切れば、自由で発想豊かな靴になります。

思えば、工房を開く前に、既製用に多くの型紙を作りました。オックスフォードからブローグ系、内羽根も外羽根も、チャッカーブーツにエプロンフロント・・・・サドルは最後になりました。デザインの決め手に至るまでに時間がかかってしまって。もうずいぶん前の思い出です。

ひらめいたのは、部分的なトリプルステッチ。当時のステッチワーク技術では難しいな、と思いつつ、腕試しみたいなデザインがあってもいいか、と思いつつ。地味で派手な仕様で気に入っています。

ステッチ技術もいつまでも向上するとは思えませんが、目や手がこの仕様に耐えられなくなるまでは頑張って楽しんで作りたいデザインです。

本日、納品でした。「思ったより赤いですね」 うん、赤いね。エイジングが楽しみです。

履いていただいて、ちょっと遠目から眺めて・・・・革靴ってスニーカーみたいなケミカルシューズよりもやっぱり爽やかですね。ナチュラルな素材で、ゴテゴテとした装飾に頼らず、素直な雰囲気に仕上がる。派手な色でもしっとりとまとまる。初めて仕立てさせていただきましたが、気に入っていただいたようで、履いたまま工房を後にされました。その足どりの軽やかさは、やっぱりとっても爽やかでした!


5/25/17 足の変形が進む前に

靴修理の川越さんから電話があり、仕事の後で訪問しました。足と靴の話ができる相手がすぐ近くにいるというのはありがたいもので、真面目な話を楽しくしてきました。良い気晴らしになりました。その会話の中でしみじみしてしまった話題。

靴が合っていないと、足が変形していくことがあります。ハンマートゥや外反母趾がはっきり表れるまで変形すると、既製靴ではまず間に合いません。実際には、そこまでに足の変形は少しずつ進んでいますから、早い段階で相談してほしい、足に合った靴を仕立ててほしい。変形の問題だけでなく、気持ちよく歩けることも、大事なことです。

変形が進んでしまうと、見映えが、ですね。格好良い靴はさすがにちょっと・・・。木型に手を入れなくてはいけなくなり、手間だけでなく難易度が高くなって、代金も高価にならざるを得ない。

この靴のお客様の言葉が忘れられません。

・・・・こういう靴屋を30年前に知っていたら良かった・・・・


5/12/17 突然の納品

ご注文いただいた靴はじっくり時間をかけて木型に馴染ませ、最後に軽く仕上げます。あまりギラギラにならない程度に、爪先とかかと周りにワックスをかけています。

今日は朝から、木型を抜いて、仕上げに取りかかっていました。ここまできたらひと安心、では全くなくて、ここで傷一つつけたら作り直し、という緊張感が付きまといます。

予定よりも遅れ気味の進行になってしまったので、できるだけ早くと思い、昼過ぎに連絡をしたところ、都合よく、本日中の納品と相成りました。お待ちしている間に、別口の木型をいじくり始めてしまい、時間を忘れ、とっ散らかったままでのお迎えになってしまいました。作業中の工房をお訪ねのお客様には、いつも申し訳なく思っています。

そういうことができるのも、ビスポークの2足目だったからです。最初「合う靴がない」と不安を抱きながら、木型からの靴の注文に来られて以降、試し履きとともにお話を重ねてきました。工房の様子、私の仕事の進め方、よく分かっていらっしゃる。1足目の際には、不具合、不満を遠慮なく指摘していただきました。そこから、さらに木型に修正を入れて・・・・

触診でもフィッティングが上がったことはよく分かります。ますます履ける靴に仕上がってきました。何より、お客様の表情と足取りによく表れていました。


4/20/17 良い物ないですね

先日の手作り市でも、今日のお客様にも言われました。

世間様の話です。私の作品ではありません。ちょっとさみしい心中を吐露されることが多い。

私自身、ここは頑張ってると信じていた某店に年末に行って、がっかりしたところです。目標になるような技術、参考になるような設計、そういうのが含まれた良い品物が、残念なことに、ことごとくなくなっていました。

皆さんが求める「安くて良い物」は所詮は「梅の松」です。でも、バブル期には本物の「松の松」をあちこちで見ることができました。そういうのを知っている方には、買い物が難しいご時世です。あの頃が異常だったのかもしれませんが、確かに、一目で魅了されるような良い物がありました。

こうなってしまうと、良い物に触れる機会のない若い方がかわいそうに思います。靴を1足ずつ、小物を1つずつ、大事に作るのは難しい世の中ですが、その分、頑張って作り続ける意義はあるのかな、そんなことを思う今日この頃です。


3/15/17 寒中手作り市

降ったり照ったり吹いたり、妙な天気の手作り市でした。寒いなか歩き回ってであちこちに傷みが。

「こういうのをずっと探してた」「ちゃんと作ってある」と、多くの温かい声をいただき、感謝でいっぱいです。どうにも会話がちぐはぐになることもありましたが、作り手がお客様の前に出る機会ですし、作り手からの話を可能な限り続けたいと思います。薀蓄を言うだけのマニアではなく、お金主眼の商売人ではなく、頭を使って手を使って、ひとつの作品を形にする作り手として。黙って物を作るのは格好良いかもしれません。グダグダしゃべる職人なんて鬱陶しいでしょう。でも、どんな品物も「誰かが作っている」ことを忘れてしまっている人ばかりになってしまっては、世の中無機質になってしまいます。だから、作った製品を、作ることそのものを評価してくださる方に出会えると、本当に楽しいです。本当に励みになります。良い1日でした。ありがとうございました。


3/1/17 爪先形状

「ブログあまり更新してませんね」とのワンパンチをいただいた、今日の納品です。木型を削るとブログまで手が回らなくて、と言い訳しながら、せっかくのお言葉なのでちょっと紹介します。

ご注文はラウンドトゥのワンピースです。ゆったりとした曲面での表現をお求めでした。一方で。足は薄く幅広い、平べったい。ぼんやり木型を削ると、ぼってりした雰囲気になりかねません。お客様の雰囲気とは離れてしまう。ワンピースとの折り合いも悪い。私の作風ともちょっと違う。

実際に木型を作っていって・・・・やっぱりイメージどおりにならない。気を取り直して、爪先を少しだけ長く狭くスマートに。お客様の好みから離れたかも、と思いつつ、お客様の雰囲気には合っていると信じて、仕立て上げました。

外側の緩やかな曲線、シンプルな並びの6アイレット、内側コバ面の表現など、お客様の要望で盛り込んだ仕様は、まとまり良く表現できました。1足目と思えば、フィッティングもまずますかと・・・・

「次はオックスフォードをお願いします」。 はい? あ、はい! 爪先の雰囲気はこれで良いですか。

「はい、これで」

想って考えて形にした物を認めていただいて、幸せいっぱいの瞬間です。ありがとうございます。

木型を改良してフィッティングを向上させて、2足目の作製にとりかかります。


2/17/17 納品しました

どうにも注文が重なることがあるもので、時には財布が続いたり、同じデザインの靴が続いたり。

秋ごろから靴の注文が続いていて、その中の1足をようやく納めることができました。シンプルなオックスフォードです。

お客様は最初から個人の木型を仕立てる心積もりでご来店下さいました。甲の低い、平たい足。足全体の形を見て、納得できる既製靴に巡り会うのは困難なことが瞬間的に分かりました。当工房の既製靴もお試しいただきましたが、全く合いません。お話をうかがっても、靴探しに随分な苦労を重ねてきたようです。既製靴を足に合わせる、いろいろな技術についてもよくご存知でした。

「木型を作りますし、仮履きを履いてみて、さらにできることを相談しましょう」

足に合わせて、お客様の雰囲気に合わせて、ゆったりめのラウンドトゥを目指します。形の左右差は若干あるものの、足の変形はそれほど進んでおらず、この段階で訊ねていただけて良かったと思いながら、木型を削ります。

無理をしない、奇をてらわない仕様、仕上がりです。ご要望で、中敷きに工房のロゴは焼入れしていません。

ライニングに段差ができるのを嫌って、窓口は省略。納品した月だけをメモ程度に入れました。細かい仕様は、要望次第です。「何にもなし」も、手作り感、注文靴らしい仕様ではあります。

気に入っていただいて、そのまま履いて帰られました。そういうお客様も珍しい。おそらくお客様にとって、「足に合っている」と思える、信頼できる、生まれて初めての靴でしょう。足に合わない靴に延々悩み続ける不快感から少し解放された、爽やかな笑顔をいただきました。ありがとうございました。


1/7/17 サドルシューズ

コンビネーションに仕立てられることが多いサドルシューズ。ゴルフシューズに見られるようにスポーティに、ころんとしたかわいらしい仕様に、カジュアル感の高いデザインとされています。

それは起源からも間違いないのですが、別の一面もあります。

黒やこげ茶色のモノトーンに仕立てると、ビジネスシーンに使いやすい「フォーマル感のあるカジュアル」を表現しやすい雰囲気に仕上がります。プレーンなストレートチップから、穴飾りが増えるほどにカジュアル感が増すブローグ系とは別系のカジュアル。ただし、スーツの着こなしがだらしないと、一気にカジュアルに振れてしまう、ちょっと難しいところもあります。

ご注文のお客様が、こげ茶のフレンチカーフと素材はすんなり決まったのですが、デザインを決めかねていたので、お勧めしてみました。あまりやらないことです。着こなし、体型、足の形・・・・似合うと思ったのです。

先日、お引き渡しがありました。完成品を履いていただいて、お客様は靴を「格好良い」と繰り返すし、私はあまりに似合っていたので「格好良い」を繰り返し、ちょっといつもと違う雰囲気の、愉快な納品になりました。


1/3/17 新年明けましておめでとうございます

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今日も工房で事務仕事、棚卸しでした。面倒ですが、材料の在庫状況などが把握できますし、材料購入の参考になります。幻の材料みたいなものもあったりして・・・・

例えば、深い深いグリーンのミネルバリスシオ・・・・頼んだ色とは違う色で届きました。皮革の染色は極めて難しい技術です。多少の違いは目をつぶるべきですが、さすがに売り物に仕立てにくいぐらい違いました。でも、これはこれで面白い色合いなので、小物に仕立てたりしています。で、思いがけず人気が出たりするわけです。こういうのは意図的には入手できない幻の材料でしょうね。