2014年 店舗日記/案内と雑記

当サイトにお越しいただき、ありがとうございます。
ここでは、日々の出来事や思うこと、お店の予定など、思いつくままに記しています。


12/27/14 御用納め

年をとると1年が短く感じるそうですが、今年は長かったです。それもこれもお客様に恵まれたおかげです。購入・注文よりも、お話から得られる感性みたいなものの方が実り多かった気がします。以前から気になっていた課題の小物に手をつけてみたり、とにかく前向きになれました。微妙に靴の仕上がりにも反映されています。

積み革細工のペンダント。木製ではありません。

少し長めに冬休みをいただきます。毎年のことながら、事務や型紙作製にかなりの時間を割くことになりそうです。


12/26/14 暮れも押し迫って

年末恒例の棚卸をぼちぼちやっていて、製作途中の靴と目が合ってしまいました。年内にやれるだけ進めておきましょうか・・・。

手製靴の花形、掬い縫い。おっとりと始めたので、存外に丁寧に仕上がりました。靴が仕上がると外からは見えなくなりますが、だからこそ手が抜けません。

手作り市などでは「靴も作ってるんですか?」と尋ねられることもよくありますが、はい作ってますよ。


11/27/14 かばんの修理できますか?

よく尋ねられます。今回は「かばんを立つようにしてほしい」とのご依頼です。それは、修理というよりも、改造です。最終形が決まっていないので、ご期待に応えられるかどうか、お客様と相談しながら、元の品物からできるかどうか観察しながら、作戦を立てます。

柔らかい革で仕立てられた、マチの薄いブリーフトートバッグです。素材選び、デザインともに、自立するようにはできていません。身頃は大きく採ってあるので、底マチを増やして、内部に芯を張り込んで、かばんを立たせる方針です。

前身頃にだけあしらわれたリボンが素敵です。結び目の中に手縫いが施されていて、解けないようになっていました。細かい仕事ぶりに感心します。これを解いて元に戻すために、最初の状態を記録しておきます。

あちこちにあった手縫い糸を記録しながら解いて、間口のミシン糸を解いて、表地と裏地を別々にします。表地には、柔らかい素材に合わせて薄手の芯が仕込んであって、本当に良い作りです。こういう仕事に触れると、楽しいですし勉強になります。

気持ちよく底マチを増やします。

表地に強めの芯を張り込みます。柔らかい革を引っ張ってしまうと、そこが引きつれたようになって雰囲気を壊しますから、「自然に、丁寧に」を心掛けます。リボンが入る部分には芯を張り込まないで、元の雰囲気を残します。

表地と裏地えお張り合わせます。ミシンの穴が一致するように待ち針を利用しますが、今回は柔らかい素材だったので、細かいピッチで合わせました。色糸はあらかじめところどころに仕込んでおいた印です。張り込んでいるうちに1目ずれていたので、慎重に準備しておいて良かったです。

穴を新たに増やさないように、1目ずつ元の穴を拾って縫います。黒い柔らかいシボ革なので、穴が見えにくいです。ひたすら慎重に、必要なのは集中と根気です。

縫いあがったら、リボンを結び直して、手縫いを仕上げ直して完成です。立った。雰囲気は変わりましたが、お客様のご要望に応えられて、気持ちの良い仕事になりました。


11/15/14 百万遍手作り市に行ってきました

今日は、朝から百万遍の手づくり市に出展してきました。土曜日ということもあり、たくさんの方とお話しすることができて、楽しいやら勉強になるやら。励みになることも多くて、明日につながります。

素敵な出会いに感謝します。とりあえず、欠品になった小物の埋め合わせです。


11/14/14 今日は縫製

上手くなりたい。どこまで? どこまでも。

明日の出店の用意しなくちゃ。


10/28/14 着々と増える仮履き

しばらく放置していたパターンオーダー木型の仮履きを仕上げました。目立つ色で作ったせいか、「仮履きでこのクオリティ・・・」などと、お客様にもいろいろと意見をいただきました。製甲・縫製の訓練を兼ねているので、真面目に作ってあります。

本番さながらに中敷きを入れて、シューレースをパラレルに通してお客様を待ちます。

パターンオーダーの仮履きも増えました。お客様の足に合わせて木型が増え、型紙が増え、仮履きが増えていきます。それでも、サイズ展開としてはまだまだ足りません。言い換えると、足に合わせて1足の既製靴を仕立てるために、これだけ木型展開が必要になるということです。安価を第一義とする量産品では難しいことだと思います。量産の極意は「個別に対応しないこと」ですから。

これでも、足長と足囲によるサイズ展開でしかありません。さらに足の形に沿った靴となると、個別に木型を作るビスポーク靴になってしまいます。

足に合った靴とは、個別対応に他ならないわけで、言うほど簡単じゃないんです。


10/25/14 新製品は次々に

靴以外の小物については、思いつきで型紙を作ったり、試験的に製品を作って評価を仰ぐこともあり、こまめに在庫の顔ぶれが移り変わっています。

すでに小物のページに更新していますが、最近加わったのが印鑑ケースです。個人印サイズと会社印サイズで仕立てました。大小ありますが、価格は同じ。靴屋がサイズで値段を変えるわけにはいきませんしね。


10/20/14 休日のひと時

今日は、朝から自動車の法定点検がありました。普段は車を預けてよろしくするのですが、思うところあって、ディーラーで作業を待つことにしました。その時間を使ってシューズケア・・・お客様の靴は磨いても、自分の靴を手入れする時間がなかなか取れません。やっと1足。ちょっとすっきりしました。

点検がすんなり終わったところで、気持ちよく、仕入れに出かけました。


10/15/14 手作り市に行ってきました

3カ月ぶりに百万遍知恩寺の「手作り市」に出展してきました。

その間に新しい小物を開発したりもしていたのですが、評価は上々でしたから、もう少し発展させたいところです。また、さまざまなご意見やご要望もうかがえて、新規の課題がいただけたのはやはり大事な収穫です。靴がメインではありますが、良い革が使えるだけに、もっと良い仕事がしたいとの意欲が湧いてきます。

今日出会った多くの皆様に感謝いたします。


10/12/14 片づけました

当工房では、オリジナルの既製木型も使うので、たくさんの木型を持っています。ただし、狭い工房なので、基本的に木型と材料は別のところに整理・保管しています。

でも、ちょっと油断すると、この有様です。ここのところあまりに気になってきたので、休みを利用して片付けました。すっきりしました。


10/8/14 かばんの修理できますか?

よく尋ねられます。革が扱えて、ミシンがあって、そういう人はあんまりいませんから。スキルアップの思いもあり、なるべく積極的に受けるようにはしています。ただし、時間がかかることと、思ったよりもお金がかかることは避けられないです。

今回のかばんは、口周りがボロボロになっているので、革を縫い付けてきれいにしてほしい、とのご依頼です。

ただ、根革の位置が結構上なので、ミシンで縫いにくい・・・・・ ご丁寧に、根革の内側に針がこすった跡が残っていて、職工さんもギリギリで縫った気配がうかがえます。これを、私と私のミシンで扱いきれるか、悩みどころです。

とりあえず、ミシンで縫えるように、仕上げの手縫い糸は切って、修理に備えます。

厚みを調節した革を貼り込んで、いざミシンがけです。

縫いました。縫えるところは。

問題の箇所は、男らしく(?)ミシンで突っ切ることも考えましたが、無理をせず手縫いしました。修理品はお客様の私物ですし、皮革製品は針穴が残ってしまっては縫い直しができないので、安全・安定重視です。

縫い上がったら、余分な革は市切りで捌いてしまいます。

最後に、忘れないように根革を補強する手縫いを施します。

できあがり。ちょっとボロっちくなってタンスにしまってあったかばんが現役復帰することになりました。お客様に喜んでいただけると、やっぱり素直にうれしいものです。


9/2/14 かばんからのリメイク

思い入れのある革製品を、別のものに作り直す。そういうご依頼は案外多いです。今回は、かばんから保険証ケースにリメイクです。

柄入りのかばんです。大きく見えますが、革が傷んでいるところや金具のあとを避けたりすると、面が十分に得られるとは限りません。特に内部のバーツは別の革を使う必要がありそうです。

型紙を作って面を確認すると・・・・・やっぱり面が足りない。なので、型紙を作り直す一方で、取れる面を最大にするために、丁寧に分解します。縁をかがる革紐はすでに寿命を迎えていました。

ミシンの糸は丁寧に切ってパーツ取りします。材料の持ち込みは、こういう手間が必要なうえに失敗が許されないので、時間がどうしてもかかってしまいます。

裏地のない仕様だったので、床面はこんな感じで年季が入っています。変な損耗はないのがさいわいです。

凹凸のある素材なので、床面を一皮剥くわけにもいかない。というわけで、薄く漉いたライニング革を貼りこんで仕上げることとします。

何十年も前のヌメ革に似た革を探してもありませんから、足りないパーツは手元にあった革で補います。似ているけれど微妙に違う革を使うよりも、明らかに違う革を使ったほうが、仕上がりはまとまるものです。今回は、ヌメ革に合わせて、タンニンなめしのオイルドレザーを使いました。同系色で明るい茶を合わせて、おとなしめのコンビに仕立てます。

縫い上がったら、切り目のコバにペーパーを当てて面を整えます。

面が整ったら床面処理剤を塗って磨きます。ペーパー/磨きを繰り返して、コバ面を磨きこんで仕上げます。

納得するまで磨きこんだら出来上がり。面が足りなかったのは、「3つ作る」という依頼だったためです。リメイクも一品物製作の一環ですから、なかなかにやりがいがあります。


8/20/14 既製木型で手製靴を作る意義

通常、手製靴といえば、お客様の足に合わせて木型を削る、フルオーダーメイドの靴を意味します。一方で、当工房では、独自の既製木型を持っていて、既製靴のパターンオーダー(イージーオーダー)を選べるようにしています。注文の多いサイズについては、すでに木型も仮履き用の靴も用意がありますが、手持ちの木型では合わないサイズのお客様も、当然いらっしゃいます。そういう場合には、サイズを展開した木型を用意し、木型の各数値を確認した上で、各種の型紙を作製し、仮履きを用意します。好みの問題もあるので、通常は複数足を仕立てますから、結構な手間がかかります。

量産しない既製靴ですから、正直、割に合いません。ですが、独立前から、既製木型は絶対にやりたいと思っていました。

靴のサイズについては、足長と足囲による規格があります。日本の場合、足の実測長と実測囲を基準とした、実践的な規格です。が、しかし、メーカーはお客様のためにフルラインナップでサイズを用意してはしません。売りやすいサイズを最低限しか用意しない、それぐらい割り切らなければ、仕事にならないのが実態です。規格はあっても、規格品がそろっていない。足に合った靴を探す、その土台が全く整っていないのです。

だったら、足を測定して、一品物の規格品を仕立てる意味があるだろう、そう思っています。人並みはずれて足が小さい、大きい、細い、太い、そういう足に合うだろう規格品を仕立てることは可能です。足長21.5センチ? 作ったらあります。Cウィズ? Bウィズ? 作ったらあります。

お客様の足を測ると、合う靴が見つからない理由が分かることも多いです。その上で、いくら探し回っても見つからない規格品、履いてみる意義はあると思います。


7/15/14 手作り市に出ていました

当工房の商品群と露店とはマッチングが悪いとは思いながら、百万遍の手づくり市に出展してきました。雨にならなかったのは幸いですが・・・・暑かった・・・・

それでも、多くの出会いがあって、「すごい」「丁寧な仕事や」のひと言をいただけると、やはり励みになります。靴に関心を持つ方から話しかけられることも多くなってきて、関心の高さを実感することもあります。前向きになれること、活力を養う意味でも、良い一日でした。


7/3/14 マッケイの中身

マッケイ製法は、中底とアッパーと本底をまとめて縫い付ける底付け方法です。ウェルテッドよりは簡便な方法ではありますが、屈曲性の良さや、華奢な雰囲気など、マッケイならではの魅力はあります。私は注文靴の作り方を修めた身ではありますが、別にウェルテッド至上主義ではありません。製法それぞれに利害得失、得手不得手があると思っています。

釣り込んだところです。基本的には糊に頼っていますが、甲革・ライニングともに厚くてしっかりした革を使用していてまとめにくいため、爪先と踵にはからげ縫いを施します。中底に厚い革を使っているから可能な仕様です。表にひびかないように美しくまとめる・・・・ウェルテッドよりも慎重に作業しているかもしれません。

マッケイの靴では、オールソールで再び開けることは避けたいので、シャンクは折れにくい竹製です。また、マッケイの弱点を少しでも補うため、甲革の銀面は掻きません。

底縫い屋さん、ありがとうございます。無理あるかな? と思っても、こちらの要望をそっと汲み取ってくださる気配りと技術に、いつも敬服いたします。

手製靴屋らしく、鉢巻きは本底の下です。革1枚分、ヒールが高く見えます。切り回したら、本底を叩いて巻き上げます。洒落のための手間は惜しみません。

ヒールを積み上げ、やすりをかけて形を整えたら、水で濡らしてハンマーで叩いて革を締めます。美しい仕上げのためならば、手間は惜しみません。ここからヒールの仕上げに突入します。

巻き上げた本底を切り取って整え、コテを当てると、適切な出幅のコバ面が表れます。

ヒール、本底のコバ面ともに、ろうを熱で溶かし込んで仕上げます。

底面は、額縁を入れた上で、ふのり仕上げを施します。要するに、ハンドソーンの注文靴と同様に仕上げます。マッケイ靴のオールソールは基本的にはしたくないので、ハーフラバーソールは標準装備です。

ペイス(木釘)の頭を削り取る図。ヒールを固定する釘は、中打ちしないで、外側から打ち込んでいます。マッケイ製法であっても、木型基準で靴を作る、そういう心掛けです。


6/28/14 レディスシューズ

靴をお客様に納めさせていただきました。ご婦人用のプレーントゥオックスフォードです。フォーマル感の強いデザインだけに、マッケイ製法で仕立てると、すっきり、端整、爽やかです。

お客様に履いていただいて、雰囲気を見るときが、作り手の至福のひと時です。

甲革はベビーカーフ・・・・きめ細かく、使うほどに、手入れするほどに艶が出てしまう素材です。黒い革は何種類も用意していますが、ベビーカーフを選ばれたのは、お客様の達見だと思います。久しぶりに使いましたが、本当に色気のある黒です。

窓口には日付を入れてみました。こういう遊びの表現は、注文靴ならでは、です。

婦人用の既製木型はもともと小さなスクエアトゥで削ったのですが、コバを追い込んだ分、形がはっきりしました。婦人靴らしくて、ウェルテッドよりもおすすめの仕様かもしれません。


5/27/14 革製品のボタンホール

服にボタンを付けると、相方はボタンホールです。布地にボタンホールの穴を開けるときには、ほつれるのを防ぐために、穴をかがる必要があります。今どきは、家庭用ミシンでもガーッと自動で、楽チンにかがることができるようです。革製品のボタンホールでは、表地と裏地がはがれたりずれたりしないように、穴の周りを四角にかがっておけば事足りますし、そういう仕様が一般的です。

でも、穴を囲むだけだと味気ないので、洋服に見られるような仕様で格好良く・・・・という要望がありました。どこに尋ねてもあまり歓迎されない仕事なのだそうな。それはまあ、手間はとてもかかりますから。いざやってみると、高級感ははるかに増しますね。ちなみに、革のボタンホールを、自動ミシンでガーッとかがると、ボタンホール全体がごっそりはずれます。泣くに泣けないですね。布と革では組織が全く違いますから、注意しましょう。


4/24/14 型紙・型紙・型紙

靴に限らず、ちょっとした小物を作るときには、まずデザイン・設計から始めます。そして、型紙を作ることで、実物に少し近づきます。ところが、試作してみると、作りにくい部分があったり、使い勝手が気に入らないところがあったり、そもそも設計段階で仕様が美しくなかったり、いろいろな問題が発生します。

財布などはパーツは多いし、手の中での「なじみ感」を大事にしたいしで、どうしてもダメ出しが多くなります。赤ペンが多いときは、当初設計が浅かったということですが、一方で、より良い物に近づいている証でもあり、前向きに仕事が進みます。


4/23/14 靴は踵で履いてください

靴を選ぶにしても、足に合った靴に巡り会ったとしても、履き方が間違っていたら、あんまり意味がなくなります。そこで、端的に分かりやすく「靴は踵で履いてください」と説明します。踵を始点に足を靴に合わせて、甲を靴ひもやストラップやベルクロで押さえ込んで、靴の中で足が動かないようにします。

今日のお客様は市販の靴だとなかなかサイズがない足の持ち主でしたが、靴を踵で履くように心がけるだけでも楽になった気がすると、たいそうお喜びでした。基本的なことだけに、素直に聞き入れていただけると、恥ずかしくなるぐらいうれしいものです。


4/17/14 今日はグダグダ

風邪は残っているし、疲労は残っているし、無心に細かい小物の製作をしようと、朝から小さな目標を立てて始まった一日。手を動かして間もなく、不意のお客様が。「こんちは~、モリワキケンジです。」はぁ? と思ってよく見ると、タレントの森脇健児氏その人でありました。突然に始まったテレビ収録です。街ブラ系番組とはいえ、前もって一報ほしかったです。鼻声やし無精ヒゲやし、お迎え準備としてはグダグダ。無様な様子はKBS京都5月4日&サンテレビ5月6日の「森脇伝説(伏見編)」で流れるかもしれません。収録後、森脇氏とちょっと雑談して、お別れしてから、写真もサインもいただかなかったことに気付き、もうグダグダ感倍増です。


4/16/14 久しぶりの更新

年明けあたりから、未だかつてない忙しさに追われ、更新を休ませていただきました。申し訳ございません。型紙/試作の連続だと、頭も常にフル回転ですし、先週末にはついに発熱。体調を崩してしまいました。でも、勤めていた頃よりはずっと気分がいいです。あの頃は気力体力ともにレッドゾーンに入りっぱなしで、熱出る前にいきなり気を失ってましたから。

そんな折に、昨日は百万遍の手作り市を何とかのりきった、というよりも、ずっとメール交換ばっかりだった友達と何年かぶりに会ったりして、楽しかったです! もちろんお客様との交流に何より感謝感謝です。ウチの製品をじっと眺めてる若者がいらっしゃって、「手にとって見てください」ってうながすと、目キラキラさせて触って見てくれるんですね。自分で無理に片付けずに、私に手ずから戻してくれて、丁寧に扱ってくれて。値段を聞いて「ベリーベリーリーズナブル!」てすっごい笑顔で。買ってはもらえなかったけれど、それは最初から察するところはあったので、全然気にならない。彼が「いつかきっと」って思い続けてくれるような物を作り続けたいナ、と励みになりました。露店の出店ではありますが、そういう爽やかな出会いが毎回あるので、とっても楽しいのです。


2/25/14 補強は大事

今日の製作裏側はコインケース。

きれいに折り曲げるための芯の使い方が命です。

ボタンの下には必ず補強を入れます。ボタンがすっぽ抜けるほど伸びるような情けない革は使っていませんが、少しでも長く使ってほしいとの思いからです。

芯や補強やライニングを入れたがるのは靴屋の癖です。

最近は小物ばかり紹介していますが、靴も作ってます。


1/25/14 2つ折財布

小物の代表、花形といえば、お財布です。中でも2つ折財布は、お札、小銭、カードを最低限のスペースに収納するミニマムデザイン。定番中の定番だけに、細かい部分に気を配りながら作ると、なかなか奥が深いものです。

今回の表革は、カルロ・バダラッシ社のミネルバ・リスシオ。タンニンなめしのオイルドレザーですが、小物に仕立てると特に見映えがします。オリーブグリーンの発色も素晴らしい人気色です。

ともあれ、まずは型入れです。

広い革を漉く際には、漉き幅に限りがあるので、何度も漉き機に通します。すると、その継ぎ目がどうしてもボコボコするので、手漉きで整えます。

端も機械で漉いた後に、手を入れます。部位ごとに厚さや漉き方を変えています。薄いと強度に不安がありますし、厚いと折り込みにくい上にドンくさい感じになりますし、納得できる厚さに設定するまで試行錯誤したものです。

ライニングは大まかに粗裁ちして、先に漉いておきます。

薄く漉いてから型入れして、ライニングの端は手漉きします。手間はかかりますが、仕上がりの良さと作業の安定を求めての手順です。

コインケースのフラップには、革芯を仕込みます。今回はアノネイのボックスカーフ・・・・わざわざ厚紙を仕入れるよりも、手元にあって信頼性のある素材を使ったほうが気持ちいいですからね。

型入れ、厚み調整の後で、部品を並べてみました。意外に多くて広いです。いずれ仕様を考え直す時が来るかもしれません・・・・

実は、ここまでの作業のほうが、ここからの作業よりも時間がかかります。得手不得手というよりも、作業の精度の問題です。

カード入れやコインケースのマチにも裏革を貼ります。表面が銀面になるほうが強いです。やり過ぎの感はありますが、靴屋の癖ということで、ええ。

貼ったら縫います。基本的に接着剤には頼りません。

貼っては縫い、貼っては縫いで、コインケースを組み立てていきます。重なりが多いだけに、最初に慎重に漉いておくと、すっきりきれいに仕上がります。

仮止めの糊を乾かしているところです。組み上がってきた感じがします。

角回しはこんな感じです。強い銀面がある革ですし、折り込みで隅を保護します。厚みは0.3mmぐらいで漉いています。極薄に挑戦したり、いろいろ試してみましたが、丈夫さと意匠を考えて、この仕様に決めました。ひだにして寄せて・・・・

ハンマーで叩いてつぶします。特に際が平たくなって、表側からはすっきりして見えます。これも靴屋の感覚ですね。

表の大きな部品を縫い付けて出来上がりです。いくつもいくつも作ってきて、すっきりしていながら、少し丸みを感じる仕様に安定してきました。秋口から年始にかけて、財布をお仕立てする機会が本当に多かったです。


1/15/14 百万遍の手作り市に出展しました

先月に引き続き、百万遍の手作り市に出展しました。露店で靴は販売しにくいので、小物中心です。

お買い上げいただいたお客様はもちろんのこと、私の作った物に興味を持って言葉を交わしてくださったお客様、作る技術に感心してくださったお客様に、たくさんの「ありがとう」を言えることは、本当に幸せなことだと思います。まだまだ作りたいものもいっぱいあるのですが、どうしても小物は後回しになっていて、ちょっと申し訳ない気持ちもあります。まして、かばんとなると・・・・ なので、お時間いただけますならば、個別の注文で対応させていただいています。

思いつきで小物の設計をするので、いつの間にか種類が増えていきます。

靴でもお財布でも、お客様の楽しみや喜びは同じ。外に出て人に会うことは、自分を見つめ直す絶好の機会です。今日一日に感謝です。


1/3/14 新年あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願い申し上げます。

昨年は公私ともにアップダウンの激しい一年で、何となく勝手に慌しい一年でした。今年はもう少し落ち着いて、じっくりとアップアップしたいと思います。

いっかどの国のいっかどなお城。

年末年始は例年のとおり、実家のあいさつ回りに走り回っていました。雪こそ降りませんでしたが、福知山はゆるい冬型の気圧配置でどんよりした、いつもの冬のお天気でした。