2013年 店舗日記/案内と雑記
当サイトにお越しいただき、ありがとうございます。
ここでは、日々の出来事や思うこと、お店の予定など、思いつくままに記しています。
12/28/13 スマートフォンカバー
「スマートフォンケースは作ってないですか?」とよく尋ねられます。定番で作り置きできればいいのですが、ケースの中でスマホが動き回って、その命とも言えるディスプレイを傷つけるかもしれないと思うと、箱の形でも袋の形でも作りにくい、そういう心情があります。靴屋の性、ですかね。
そこで提案させていただくのが、市販のハードケースを利用したスマートフォンカバーです。
お客様のご希望により、ネイビーのアノネイに真っ赤なステッチ・・・かわいいです。
ハードケースを使うと、側面の端子類の穴がそのまま使えます。カメラのレンズののぞき穴も、ケースをなぞって設計すれば簡単です。作りやすくて便利で、しかも動かない。意地になってオリジナルを仕立てるよりもずっと合理的です。ただし、機種ごとのオーダーメイドになってしまいます。
靴屋仕様らしく、中に窓口を開けて、名前を書き記しました。
左右見開き、あるいは下開きで作製しています。問題は止め具です。金具類は外から力がかかったときに、革を介しているものの、ディスプレイを押すことになります。強い衝撃が加わると・・・・と思うと、なかなか使いづらいものがあります。ベルクロ(マジックテープ)は埃や髪の毛をかみ込んで不愉快です。ですから、現状は、安全重視のループ/ストラップで仕立てています。春ごろから作り始めて、最適な止め具については、いまだに決定打が見つからないまま・・・・来年も継続して検討します。
12/16/13 休み続きで申し訳ありません
土曜日は法事で少し遠出していました。日曜日は「百万遍の手作り市」に出展(撮り忘れ・・・)していました。多くの人に会って話をして、「ありがとうございます」がいっぱいの楽しい一日でした。とりわけ、品物を「かわいい」と評されると、普段あまり意識していないだけに、うれしいやら恥ずかしいやら。時間を作って、そういう路線の商品開発もしたいと思いました。
日曜日の京都は時おり小雨の混じるお天気だったので、少しでも早く箱から出したくて、今日は工房で後片付けをしていました。
ここのところ、特に財布をはじめとした小物の特注が増えています。今日の午後もお得意様からの注文を受けたり、なかなかに忙しい休日でした。
11/26/13 引き算の財布
御近所様から財布のオーダーが多くなっています。とても個人的なアイテムだけに、個々に異なる仕様を求められ、それもまたお仕立てする励みになります。
今回は、コインケースなし、札入れの仕切りなし、カード2枚分のポケットのみ、のすっきりした長財布。オーダーの際には「アレを足して、コレを足して・・・」との要望が多いなかで、何とも潔い仕様です。
できるだけスマートに仕上げたくて、カードケースもスリットにしてみました。黒の革にネイビーブルーのステッチとの御要望でしたが、やっぱり格好良いです。
11/19/13 チャッカーブーツ
パターンオーダーでのチャッカーブーツのご依頼です。短靴とは勝手が違う部分もあり、少し型紙に手を加えることもあり、木型に補正を加えることもあって、少々手間をかけました。
アッパーはネイビーブルーのフレンチカーフ。パンッと張った表情に釣り込んで、木型の形に馴染ませます。
出し縫いのピッチは細かめの指定。
かかとの前は真っ直ぐに落とします。すっきりした仕様で清々しいです。
目付けは浅めと依頼され、意識してウィールを転がしてみました。パターンオーダーであっても、細かいご要望に対応します。
ライニングには、たまたま持っていた同系色のキップ(若牛の革)を使いました。濃紺という色は、靴に使うには特殊な色ですが、フォーマル感は高いですし、仕様全体が大人しい雰囲気にまとまってくれました。こういう靴を仕立てると、つい自分用になどと下心も湧くのですが・・・・
やっぱり依頼主様に履いていただいて、一番雰囲気が出ますね。
10/12/13 かばんのハンド
「かばんのひもの交換ってできますか?」の修理依頼です。
大きめのハンドバッグのハンドルが千切れそうです。一番負荷がかかるところに、経年劣化が著しい合成皮革を使うのは勘弁してほしいです。
小脇に抱える長さのショルダーストラップに仕様変更します。たまたま持っていた雰囲気の合う黒の革を切り出して並べてみると、思ったよりも面積を使います。ぶら下がっている長さの倍の長さ、2本で倍、表裏で倍、折り込むので倍、コストダウンの対象にしたくなる気持ちは分からなくもない・・・・でも、勘弁してほしいです。
厚さを整えて、芯を入れたら、両方から折り込みます(×4)。
2枚を貼りこんで、本体のホワイトステッチに合わせてミシンをかけます。靴には使いそうにない白の8番糸を、なぜ持っていたのかがいまだに不思議です。頑張ったら上糸、下糸ともに8番糸を使って縫えることが分かりました。何でもやってみるものです。
本体側の仕様に合わせて、かしめで取り付けてでき上がり。丸ひもから平ひもへ、長さを伸ばしてショルダータイプに。お気に入りのかばんが、より強く、より使いやすくなりましたよ。
10/4/13 ベルト交換
暑い暑い夏もようやく去りゆく気配・・・腕時計のベルトを交換しました。いい時期です。爽やかです。
9/7/13 かばん修理のご依頼です
手製靴屋ではありますが、革を扱っていると、御近所様から「こんなのできませんか?」と尋ねられます。その中でも、オリジナル小物と並んで依頼が多いのが、小物・かばんの修理です。
まずは観察です。修理の手順を見るわけですが、自分が同様の仕様で小物・かばんを作る際に「どのように壊れるか」を考える参考にもなります。靴だけでなく、いろいろ作るようになっていますから。
糸を解いて、再利用できるようにそっとマグホックを摘出します。かばんの作りを勉強するチャンスでもあります。
ホックの土台に、裏地よりも擦れに強い革を当てることにします。革の床面には補強を貼りこんで、表面だけでなく裏面にも仕込みます。几帳面に型紙まで作ってみます。
貼りこんで、ミシンをかけて、壊れた場所は元以上の強さになりました。
ホックをつけて、糸を解いた場所を縫い直したらでき上がり。靴用の18ミシンでもなんとかなるものです。お客様の「物を大事にする気持ち」に応えるのは、とても充実感があります。
9/2/13 東京も暑かったです
かねてよりの懸案事項が溜まっていたので、朝早くに雨の京都を発ち、浅草日帰り仕入れを敢行しました。
地下鉄の浅草駅から地上に上がると、とにかく蒸し暑いこと。一日歩き回ることを誓ってきたはずなのに、一気に心折られそうです。とにかく、母校ギルド周辺の資材屋さんを巡るべく、歩みを進めます。
交差点に立って、あっち見ると、資材屋さん、革屋さん、靴屋さん・・・・
こっち見ると、革屋さん、革屋さん、革屋さん・・・・
浅草の観光地を外れると、皮革産業、製靴業の一大集積地の様相が現れます。この革の街をガシガシ歩きながら、このお店ではコレ、このお店ではコレ、といった具合に資材を購入していきます。遠方から訪問したことを告げると、各業者さんがいろいろな話をしてくれます。情報収集です。
予定の買い物や資材屋さんの新規開拓を終え、気分的に一段落したところで、TYE SHOEMAKERの大野さんと島村さんを訪ねました。互いにちょっとしか時間が取れないながら、少しの情報交換と、濃密な談笑をば。いつも急でごめんね。
そして、ちゃんとした仕事に触れるのは心地良いものです。う~ん、うまいな~、良質な刺激をもらいました。
その後も、買い物をしたり、馴染みの業者さんを訪ねたりして、思い残すことがないことを確認してから、帰路に着きます。浅草に行くと「もの作りの雰囲気」が強く感じられて、前向きになれます。ただ、何だかちょっと窮屈そうなスカイツリーが印象的でした。
8/28/13 積み上げの続き~仕上げ
昨日はヒールを中途半端に積み上げたところまででしたが、その続きから。
化粧貼り(トップリフト)を積み上げたら、真鍮製の「化粧釘」で止めます。化粧釘の打ち方は人それぞれですが・・・なぜか何年も変えてません。なぜこんな意匠に決めたのか、もう忘れました。
ヒールとコバは一緒に仕上げます。
底材のコバ面に、熱したコテを使って蝋を溶かし込みます。蝋を入れる目的は・・・防水です。ツヤはあくまでも副次的効果です。蝋を含むインキで仕上げるやり方もありますが、1足ずつの作製ですし、念入りにやらせてください。
底面の縁には額縁仕上げを施します。エッジがビシッと決まります。
底面は布海苔(ふのり)を使って古典的な仕上げを施します。作業の効率化のためにいろいろな資材を試してみましたが、結局ここに戻ってきました。
最後に甲革を仕上げます。
写真枚数の都合で2回に分けましたが、見づらくてごめんなさい。
8/27/13 積み上げ
マッケイ製法の底縫いが上がったので、ヒールを積み上げます。
「ペース打つなんて最近は見ないなあ」と、底縫い屋さんに今回も言われました。ペースは木製の釘です。仮止めに使う糊に不満はないのですが、オイルドレザーにはどうしても効きが悪いのです。マッケイ製法の場合、一度木型を抜く必要があります。ヒールカップの深い、ハンドソーン用の木型を使っていて、抜くときに本底がはがれてしまう不安が残るので、保険の意味でもペースを打っています。
靴を木型に戻します。今使っている頑丈な靴べらにめぐり会って、ようやくマッケイ製法で作る気になりました。
アッパーに厚い丈夫な革を使うと、どうしても本底の踵部分が丸くなってしまいます。
その丸みを平らにするため、まず「鉢巻き」を積みます。量産品では、アッパーと本底の間に鉢巻きを入れる「下鉢(したはち)」がほとんどです。下鉢のほうが作業性はいいのですが、通常の鉢巻きのほうが精度を出しやすいのと、わずかな差ですが、ヒールが高く見えます。手製らしさ、かもしれません。
まだ丸みが残っています。本底をバリバリと削って平らにするような荒技は使いたくないので・・・
「お椀」を掘ります。
貼り付けると、はい、良い感じに平らになりました。
3枚目で、ヒールの「据わり」を整えます。ヒールを積むと、後ろ上がりに斜めになりますから、積み上げる革を削って、ヒール底面が地面にピタッと着くように仕上げます。
「アゴ」(積み上げの前部)の形を決めます。本底や縫い糸を切らないように、気をつけます。
釘で固定して、ヒール本体ができ上がりました。あらかじめ積んでおいた革をガーッと削って着けるやり方もありますが、設計図たる木型に沿って形を作っていきたいので、あえて手間をかけています。
ですから、靴のヒールの修理は、トップリフト交換の段階でお願いします。本体まで削ると、本当に大変なんです。
8/22/13 ベヴェルウェスト
靴の踏まず部分をウェストとも称しますが、接地面でなくシャンクに支えられている部分なので、少々自由度が高い。ちょっとおしゃれな仕様としてベヴェルウェストがあります。「Bevel=斜め」なので、いろいろな「斜めコバ」があります。
ウェスト部のコバの張り出しをグッと押さえ込んだ、手製ならではのやり方でもしばしば仕立てます。縫い目が見えませんが、きちんとウェルトに出し縫いをかけたウェルテッド製法です。手製らしさが最も表現される仕様です。
一方で、ウェスト部のコバを削り込んだ仕様も、実用として人気があります。ベヴェルほど「攻めた」仕様ではありませんが、ウェストのコバ面を薄く見せて、華奢な雰囲気になります。それに、いずれ来るオールソールの際には、ウェルトが幅広く残っている方が、何かと都合がいいですし。
8/1/13 見えないところに補強を
靴のアッパーを作る際には、強度や伸びを考えて、随所に補強を入れます。その癖が染み付いているせいか、小物を作るときにも、強い革を使っているにもかかわらず、気になる場所を補強します。
ストラップとストラップの取り付け位置は負担が大きいところです。ボタンの取り付け位置にも、革が伸びて、穴が広がって、ボタンがズボッと抜けないように、強めの補強を入れます。
ちょっと前にも紹介したベルト通しポケットです。ズボンや上着のポケットがふくらむのは不細工ですし、お尻ポケットに財布はお勧めできないと常々思っていますし、「最低限の持ち物を収納して手軽に手ぶらで」の構想が形になって、ちょっと気に入っています。
7/17/13 最終仕上げ
今日は最終仕上げが一足。強い革をアッパーに使っているので、釣り込んでから週単位で靴を寝かせて、木型に馴染ませます。最後の最後にアッパーにクリームを染み込ませ、ワックスでお化粧を施します。
ワックスがけはヒールやコバ面の底材から始めます。単に「いつもの手順」です。
ヒールカップと爪先、芯材が入っている部分にワックスをかけておきます。つや出しの効果を期待しますが、本来の機能は防水です。出し縫いの目付けがきれいに表現できていると、雰囲気が引き締まって見えます。
靴紐を通して出来上がり。婦人靴です。実用重視の半張り仕様です。
婦人用を意識して、羽根の部分を短めにして、甲が低く見えるようにデザインしています。内踏まずの辺りに違和感がないか、つい確認してしまいます。
というのも、今回はパターンオーダーだったのですが、木型にちょっと手心を加えたからです。
「合う靴がない」とのご相談から、足を見せていただいたのですが、足が小さい、細い、平たい、クセがある、と、合う既製靴が見つけにくい足と感じました。当工房の既製木型も、そのままではフィッティングが出ないと思われたので、手を入れました。この程度ならアッパーの型紙も作り直す必要はありませんし、今のところはパターンオーダーの範囲と考えています。
7/3/13 半カラス仕上げ
底面のウェスト部分にだけ色を入れる半カラス仕上げ。本来的にはフォーマル感の演出なのですが、自由度が高い部分だけに、いろいろな色を入れたり、絵を描いたり、要は見映えを良くするコスメティックな仕様です。
当工房では古典的なやり方を基本にしています。色を入れた上で、熱ゴテを使って蝋を染み込ませます。その後、余分な蝋は拭き取ります。
その上にワックスを重ねて磨き上げます。まさか写真に撮って指が映り込むとは思いませんでした。
6/15/13 パターンオーダーに手を加えることもあります
お客様にご来店いただくと、まずは足の測定をします。簡易の足型を採って、足長と足囲を採寸するとともに、足の形を見ます。足を把握することで、既製の木型といえども、フィッティングの出るものが用意できます。手元にある木型についてはフィッティングサンプルがありますから、それを履いていただいて、具合を確かめる、そのような手順でパターンオーダーを受けています。ご自身の足についてよく知らないまま靴選びをされている方、既製の商品が少ないサイズの方、左右違い、そのような場合にはパターンオーダーで対応できる場合が多いです。
今回のお客様は、少々勝手が違いました。足長・足囲は極端でもなく、足の形も真っ直ぐできれいなものです。お話をうかがっても、サイズ選びはそれほど間違っていない。でも、履き心地はいつも緩い、のだそうです。サンプルを履いていただくと・・・・やはり合わない。訴えのとおり、この足に合う既製靴にめぐり合うのは難しそう、と思いながらも、足の特徴がつかめます。ここをいじるだけで、フィッティングが出る・・・・と分かれば、お客様の足に合わせて、ちょっと木型をいじります。
完成した靴を履いていただくと、靴はビシッと締まっている一方で、お客様の表情が緩みました。「初めて感じる履き心地」に満足していただけたようです。足を見てから製作に取り掛かる受注生産ですから、ちょっとした手心を加えることもできるものです。
6/12/13 ポケット
「趣味でボウリングするんやけど、財布とか貴重品どうするか困るんや。そんなんまとめて入れられるような何か考えてや。ズボンのポケットに入れても動きにくいし、ウェストポーチとかは全然アカンし。ベルトに通してブラブラせんように」・・・とのご依頼がありまして、最小限の袋物を形にしてみようか、と。
2つ折の財布と携帯電話と鍵束ぐらいが入る程度の大きさで、ブクっと膨れない程度に少しマチをつけて、少々の運動では中身が飛び出さないようにボタンをつけて・・・結局、ちょっとしたポケットができ上がりました。単純な発想と作りですが、案外いい雰囲気にまとまりました。思えば、ズボンのポケットって使いにくいですよね。前ポケットに物を入れていると、歩くたびにブラブラしたり、股関節に食い込んでみたり、上からピョコピョコと飛び出してみたり、不具合がある。後ろポケットに物を入れると変に突っ張ったり、座る度に物もズボンも腰も痛めることになりかねません。ポケットよりも小物入れを使いたいところですが、こういった小物だと鞄を持つよりは手軽かつさわやかです。
先日、依頼主様に納品したところ、大変よろこんでいただいて・・・・・
本日、その後の報告もかねて遊びにいらっしゃいました。あれ、黒無地で作ったのに柄がついてる。う~ん、すごいピンアクション。こういうお遊びも楽しいですね。普段は右の腰につけて手軽に便利に、ボウリングのときには左の腰につけて邪魔にならないように、構想どおりに使っているそうです。
素朴な要望を形にして、それを気に入っていただいて、作り手冥利に尽きるというものです。
6/11/13 かなり好みが出るものです
お財布のご注文、お問い合わせが増えています。それぞれに使い勝手がありますし、お客様と相談して、いろいろな機能を追加して作成するのは力が入ります。型紙を大きく作り直したり、新規に作ったりしないならば、そんなに高くならないですし、世界に一つのオーダーメイド財布もなかなか仕立て甲斐があるものです。
6/6/13 隙を見つけて
隙を見つけて木型いじり。靴作りの大事な大事な下準備です。
5/31/13 オールソール
オールソール、靴の本底は消耗しますから、革底のまま履いていれば宿命的に必要になります。
ハンドソーン・ウェルテッド製法の靴だと分解しやすいですし、過去の作品と向き合う良い機会にもなります。
大穴が開いた左足ですが、中底も掬い縫いも問題ないので、コルクが抜けてしまった親指の下にはコルクを追加しておきましょう。今後のこともあるので、シャンクは、傷みにくい竹製に変えます。開けたついでにいろいろ改善を施せるのがオールソールの利点です。
反対の右足。まあ、きれいなものです。掬い縫いと出し縫いの位置関係も問題なし。ウェルトの出幅もたっぷりあって、修理しやすいです。
出し縫いは元の穴を拾って縫い付けて、ヒールは新品同様に。みっちり仕上げておきましょう。元の木型を使っていると、どの作業もしっかり”決まる”ので、仕事の精度が高いです。
ウィールを転がして、糸目を強調し直してみたりとか。
底が新品同様になりましたから、合わせてアッパーも磨いておきます。中底とアッパーは馴染みが出ている一方で、新品の本底は木型に合わせています。すると、馴染みがありながらシャキッとした履き心地になります。今回のオールソールに際して、半張り+ゴムヒールの実用仕様に変更しました。馴染みが出てからハーフソールというのは、オーナー様の卓見だと思います。どうぞ気持ちよく履いてくださいね。
オールソールは本底の張り替えというよりも、靴のオーバーホールと認識しています。
5/25/13 週末らしく
週末土曜日ということで、お客様がポンポンポンと。大物はオールソール。大穴が開いての邂逅ですが、中底や掬い縫いにはダメージがなさそうなので、シャキッと直す予定です。
最後の最後には、注文品が到着。中身のメインは木型。さすがにCウィズ相当になると、一目見て分かるほど細いですね。お客様に足を見せていただくと、既製品がなかなか見つからないウィズの場合も多いです。規格はあっても規格品なし、でも、作ればできます。フィッティングサンプルと製品見本を作るのが楽しみです。
5/14/13 靴は叩くもの
トントントントンきれいになれ。コンコンコンコンきれいになれ。靴(作り)はとにかく叩くもの、だそうな。
お客様が不思議そうに眺めていました。
4/19/13 3年目の大反省
靴を製作するときには、気持ちを入れる意味もかねて、最初に芯材を作ることが多いです。
革を漉いて、厚みを整えていくと、作る意識が高まっていきます。
・・・・恥と知りつつ白状すると、今日は包丁が切れなくて往生しました。砥いでも砥いでも切れない。で、よく見ると、砥いだつもりでも正しく砥げていなかった、と。慣れ、慢心、不遜・・・・恥ずかしくなって顔を真っ赤にしながら研ぎ直しました。猛省。そして自分の愚を教えてもらい感謝。心を改め、緊張感を取り戻して4年目の再出発です。
4/9/13 ショルダーバッグ 改良バージョン
以前の縦型ショルダーバッグから改良を施し、見慣れた風の横型に仕立てました。
箱型の雰囲気はそのままに、やや女性向けよりに仕上げました。サイズは長財布がちょうど納まる幅です。想像以上の人気商品となっていますが、その男女比がほぼ半々というのが気に入っています。在庫もいくつか用意していますが、革の色や金具の色など、いろいろな組み合わせでご注文いただけると・・・それも楽しいですね。
3/26/13 靴のお手入れ・・・微妙な小ネタ編
以前の仕上げの様子がお手入れの参考になったと好評でしたので、ちょっとした小ネタをひとつ。
え~、割り箸の先にペーパータオルを巻きつけまして、輪ゴムで結わえつけます。
こ、これは、いわゆる松○棒!
ペキッと折って長さを整えます。
おもむろに靴に忍ばせて、爪先あたりをこちょこちょとくすぐります。
出た! 綿ゴミ! 捨て寸は常に空きスペースですし、靴を履くたびに埃を詰め込んでいるようなものです。でも、思ったよりも少ないような・・・・・
コロン・・・・って、こっちにもありましたか。放っておいても実害はないですし、気にしなければそれまでなのですが、お掃除すると気分はサワヤカです。ああ、すっきりした。
まあ、こんなのを頻繁に目にするのは、アッパーと中底をバラバラにするヘビーな修理屋かわごしさんぐらいのもんでしょうね。
3/7/13 お気に入りのブーツ
西陣織の金襴をシャフトにあしらったショートブーツ。昨年の夏から履いている試作品です。実は二代目、改良版。地味派手な感じがお気に入り。
3/2/13 靴を手に持って何を感じる?
イベントに参加する際には、展示用に靴を持って行きます。靴屋ですから。デザインサンプルにつき履いていただくわけにはいかないのですが、手に持ってじっくり眺め回していただくことはしばしばです。作りや仕上げに感心されることも多々ありますが、その一方で「案外重い」とか、「見た目より軽い」とか、重さを言われることも多いです。あんまり意味はないでしょうね。靴の重さは履いてみないと分からないですし、フィッティングが出ていると重さは感じないものです。重さが気になる人は、普段合ってない靴を履いているのかも? です。
ちなみに、最近作ってみたマッケイ製法の靴は、フルハンドよりも重いです。半張り標準装備ですし。というか、ハンドソーン・ウェルテッドの靴は、見た目からにじみ出る凝った雰囲気よりも、ずっと軽いです。「高級=重厚」みたいなイメージでもあるのでしょうか。アッパーのデザインやトゥシェイプを眺めているだけでは分からないことではあります。
3/1/13 阪神百貨店出展終了
阪神百貨店梅田本店の「みんなの手づくり作品展」への3日間の出展が終了しました。慣れない場所での慣れない販売に少々疲れましたが・・・・・楽しかったです! 雑貨の販売はもとより、多くのお客様に靴を見ていただき、いろいろな意見、賛辞をいただきました。期待していたことではありますが、出会いや縁を強く意識する3日間になりました。
明日は久しぶりの工房です・・・・・頑張ろう!
2/17/13 マッケイ製法の靴、こんな雰囲気で
マッケイの続き、仕様的なものを。
一度作ってみて、「マッケイの壁」みたいなものはあると感じられたのですが、シンプルで清々しい雰囲気はやっぱり捨てがたいです。
コバはすっきり。追い込んだ上にギザはなしで。ダミーウェルトを接着してウェルテッドシューズに擦り寄った最近のマッケイ靴を見慣れた目からすると、新鮮に映るかもしれません。ちゃんと手を入れてコテを当てると、上品に仕上がるものです。
ウェストあたりはウェルテッドの木型を意識させます。
ヒール回りはハンドソーンと変わらないので、鼻歌交じりに楽しく美しく。コバに合わせて踵車を省いてみましたが、これはこれでアリかな、と。
ハーフラバーソール(半張り)は標準装備です。オールソールに難があるマッケイ製法と半張りはとても相性が良い。マッケイにさらに本底を出し縫いするブラックラピド製法の簡易型との認識です。滑り止めだけでなく、ランニングコスト低減、耐久性向上、実用度が飛躍的に高くなります。
思った感じに仕上がって納得できたので、パターンオーダーでの注文を承ります。価格については、ハンドソーンのパターンオーダーの2万円引きの、66,000円~と当面は設定します。
2/17/13 マッケイ製法で靴を作ってみる
某修理屋さんから当HPにやってきて、すでに肩透かしにあった方も多いとは思いますが・・・・自分とこで写真も撮ってないのに画像紹介されて大わらわ。まあ、面白いからいいんですけどね。
さて、マッケイですね。パターンオーダー用、つまりはハンドソーン・ウェルテッド用の木型とハンドソーン・ウェルテッドの材料を使ってマッケイ製法の靴を作ってみたらどんな感じ? というずっと以前から温めていた構想を形にしてみました。
デザインは一番人気のアデレードクォーターブローグ、甲革はイタリアのベジタブルタンニンなめしです。木型は、私にとって見慣れたいつもの、のはずですが、革とコバの雰囲気から何となくイタリアンに見えるから不思議なものです。いや、心配したよりもずっときれいにまとまったな、と。
マッケイ製法については、対ハンドソーン・ウェルテッド製法では、いくつかの弱点があります。それを念頭に、いろいろな人のマッケイの作り方を見てきて、最近になって、特に耐久性を意識したやり方を思いついた、というところです。作る人として、普段は良し悪しでお話をするように心掛けているのですが、マッケイ製法ならではの雰囲気も捨てがたい。思えば、初めて靴を「きれい」と思ったのは、マッケイ製法の靴でした。要するに、好きなんですよ。
2/13/13 駒合わせ縫い
靴屋としてスキンステッチプスプス練習の裏で、鞄や小物の世界でも似たようなやり方をしているのは知識として入ってくるものです。革の断面に糸を通して縫うと、シャープな直角が得られる。ライトアングルステッチ(Right Angle Stetch)なんて、直訳すると「直角縫い」(あ、ダサい・・・)ですからね、小物なんかでは使いやすそうです。駒合わせ縫いとか駒縫いとかいうそうな。ちょっと良い感じ。有名なところでは、馬蹄形コインケースの手縫いがあります。スキンステッチの練習も兼ねて、駒縫いとやらで何か作ってみようかな、と。シャープな直角となると、「箱」かな。
単純で安直に作ってみました・・・名刺入れ。これはこれでちょっとおもしろいかも。ただ、まあ、予想されたことではありますが、やっぱり勝手は違うもので、練習にはならない、か。
2/8/13 好きですねえ
靴作りを習っている頃に、当時の同級生、TYE SHOEMAKERの大野氏に言われたもんです。
今日は床面側の方が納得いかなかったみたい。
ちょっとした時間を見つけてはスキンステッチの練習をしてました。今でも隙を見つけてはハギレを引っ張り出してプスプスやってます。スキンステッチが好きかというと・・・・・これはもう好き嫌いじゃないですね。いざ本番! の時に困らないよう、単純に日々の鍛錬です。ちょっとは上手くなったかなあ。
2/2/13 足
世界で1組だけの・・・・・
足長と足囲の数値からだけでも、「市販の靴は見つけるのが難しいでしょうね」とお伝えすることが多々あります。
1/23/13 部材をあらかじめ作ることを、前加工といいます
細く厚い革に溝を掘って、毛羽立ちを抑えて整えます。
表面の端を斜めに削ぎ落とします。
ハンドソーン・ウェルテッド製法の要、ウェルトです。前加工の代表選手。加工済み品でも入手可能なはずですが、自作しています。実は、私にとって一番効果的な気分転換なのです。
1/19/13 帯を切り出すところから
お問い合わせが多く、サンプルを作っておかなければの、懸案事項が一つ。材料は用意できていたので、一念発起。
帯がいっぱい。革を細く長く切り出すので、取り方や歩留まりを考えると、どうしても手が進まなかったのです。でも、リクエストは多いんですよ、これが。
革を貼り込んで、ミシンをかけて、端を整えたら、ひたすらペーパーをかけます。ええ、納得するまで。縁に色を入れて、処理をしたら、さらにペーパーがけを重ねます。ええ、納得するまで。裁断にせよ、貼り込みにせよ、ステッチワークにせよ、とにかく直線1メーター級になると、靴を作るのとは別世界です。異質な集中と根気が必要です。専門の職人さんがいらっしゃる理由を実感します。
ベルトですね。アノネイで仕立ててみました。実はベルトを着用しなくなって久しいのですが、現物を目の当たりにして、自分用に1本欲しくなったりして。
いわゆるフェザーベルトです。靴では使わない手法ですから不安はあったのですが、ちゃんと立体感が出て、当初思ったよりも良い雰囲気になりました。それにしても、この仕様を発明した人を尊敬したいです。本当に、作ってみて分かることがいっぱいあります。
1/2/13 新年明けましておめでとうございます
新年に当たって、今年も良い年でありますように、と願っております。
お休みの間にちょっとした事務仕事もあるのですが、とりあえず後回しにして手慰みをば。肩掛け部分一式を革と金具で一新し、ヘビーデューティ仕様に改良です。道具への愛着もわきますしね。ちなみに、魚釣りはいたしません。