2012年 店舗日記/案内と雑記
当サイトにお越しいただき、ありがとうございます。
ここでは、日々の出来事や思うこと、お店の予定など、思いつくままに記しています。
12/29/12 仕事納め
今日は2012年の仕事納めということで、掃除と片付け。いやはや、いろいろ出てきます。
ウェルトのハギレが多々。靴を作るとできるのですが、小物の材料にと取っておいたら、溜まること溜まること。こんなに作れませんって。
謎のパーツ。小物を作っていて、途中で「やめた」したものかと推察されます。
うわ、仮足型が出てきた。注文とは別口のものですね。日付も名前もメモしてないけれど、足型を見ると、どのお客さんのものかがすぐに思い出せるものです。今年は比較的「自分の足」を把握している方に多く会えて、清々しい心持ちに・・・・って、いやいや、ダメですね。反省。お休み中の宿題として、きちんと整頓します。
12/25/12 センターを決めたい!
靴は基本的に左右対称に作ります。さらに、一部のデザインを除くと、内外対称(に見えるよう)に設計します。すると、対称軸があるわけです、靴のセンターラインが。
ブローグのパーフォレーション(○:の飾り)を施すとなると、内外対称にすべく、中心を決めたくなるものです。もちろん、親穴(○のほう)でビシッと。ただ、ここは羽根の付け根、股裂き注意な部分ですし、ピンキングがその補強を担っているんですね。先人の創意工夫が感じられます。より強度を気にして、子穴(:のほう)でセンターを取ったり、穴をあえてずらしたりした靴もあります。ですが、ビスポーク靴に使うような強い革だと、自信を持って親穴で攻められます。
さて、内羽根の羽根は内と外で別のパーツが中心で隣り合う構造です。すると、合わせ目が親穴から見えてしまうという不細工なことが起こってしまいます。
なので、ペラペラに漉いた革をあらかじめ裏から貼り付けておきます。いろいろなやり方がありますが、面倒でも雰囲気重視で、共革を使います。本当に細かいことなのですが、気になる所があれば、意識を形にしておきたいのです。
12/21/12 がっちり
内羽根の靴では、内外の羽根の付け根をヴァンプのパーツで縫い止めた構造になります。革の際を縫ってミシン目を開けていると、「股裂き」が恐ろしいわけです。その防止に、地味に縫ってあるのが、閂止め(かんぬきどめ・かんどめ)です。
当工房では、がっちり手縫いで止めています。第一に強度を求めてなのですが、万が一の場合に縫い直しもしやすいです。飾りではないので、切れていないか、ほつれていないか、お手入れのときに見ておきたい部分です。
外羽根でも閂ですね、羽根の股裂き防止。ミシンでもできますが、やっぱり手縫いします。外羽根の方が羽根をガバッと開きやすいので、よりがっちり縫い付けます。頼りになる小さな力持ちです。
12/8/12 謎の帯から始めます
椅子の背もたれにぶら下がる帯。漉いた革に糊を塗って乾かしているだけなんですが。
糊が乾いたところで、2つ折にして張り合わせます。両面が革の銀面という強く細く薄い帯状のパーツが出来上がります。
履き口が切りっぱなしの仕様の靴で、表革とライニングの間に挟むパーツです。補強の意味合いが大きいのですが、見た目でもボリューム感を演出します。大抵は表革と同色で仕立てますが、表革より濃い色を入れて引き締まった雰囲気にしてみたり、コンビの靴ではあえて履き口と違う色でコントラストを表現したり、靴を手入れしているとチラチラ目に付く程度の地味なパーツが、意外に良い仕事をしてくれます。
名前を「ビーディング」といいます。これはこれで大事なパーツなんです。
11/27/12 時間を無駄にはできません
今日は日中に小さな出張があり、中抜けしてしまうので、工房を閉めていたのですが、御注文いただいたバッグがありますので、朝に夕に作業を進めていました。
黒い革に黒いステッチ。渋い仕様です。開け口はミシンをかけることもできますが、デザインを兼ねて手縫いします。
出来上がってからでは仕上げできない場所なので、縫い上がったらペーパーがけ。靴の底材とは別物なので、ペーパーの番手やかけ方などの試行錯誤を重ねてきましたが、さんざん作ってきて自分なりのやり方が決まってきました。
コバ面を整えたら床面処理剤で仕上げます。切り目がきれいな素材なので、一連の作業の意味を実感しやすくて楽しいです。
ツヤが出てOK、ではなくて、滑らかさを指先で確認します。気に入らなかったら・・・・ペーパーがけからやり直しします!
完成すると手が入りにくい部分ですから、麻糸の毛羽立ちを焼いておきます。で、時間切れ。続きは後日回しになりました。
11/24/12 そんなこともあります
靴作りの合間を縫ってショルダーバッグを作っていると、お客様から注文をいただきました。別口で立て続けに。そんなこともありますね。
11/15/12 小物に個性を
靴を作る裏で小物を作っていると、長財布などは靴並みに広い面が必要になりますし、パーツも多いですし、「いざ真剣勝負」みたいな気概で製作に向かっていたりします。小物には小物の難しさがあって・・・・・作り甲斐があります!
先日、ちょっと某百貨店に行く機会があって、「この財布で○○色のステッチってない?」というお客さんの声が耳に入りました。「無理ゆうなよ」と思いながら、急いでましたし、私が作りましょうかと言う勇気もなく、とっととその場を離れちゃったのですが、よくよく考えてみると、そんなことをしたら、余計なお世話に営業妨害です。
まあ、革製の小物に何らかのこだわりがあるんだったら、探し回るよりも注文した方が早いのに、というのが作り手の思うところです。
で、ちょっと財布を作ってみます。たまに作らないと、勘が狂うんです。財布には財布の難しさがあるので。折角なので、悪ノリして色糸を使ってみました。黒にワイン色は私にとっては定番コンビです。学生の頃から、思い立ったら黒ワインみたいな。紫にオレンジステッチは、これはもう憧れの組み合わせです。靴だとちょっと思い切りが必要な組み合わせですが、小物ならいいアクセントになります。好みに合わせて、どんな色の革にどんな色の糸で作るか、ステッチワークがデザインの一部になる革製品ならではの遊びです。
11/8/12 西陣ブーツ クローズアップ2
サンプルは手が込んでいて、なおかつクラシカルな印象に仕立てたかったので、外羽根セミブローグブーツです。
トゥキャップには[京]のメダリオン。生地の使用を試みた頃にデザインしたものですが、ここのところ気に入って使っています。
黒にオレンジはよく似合う。というか、ボックスカーフならどんな色でも飲み込んでくれるので、派手な生地でも安心して合わせられます。柄が小さめの生地を探してきて使いますが、花や松や雲や青海波(せいがいは)など、和柄のモチーフが盛り込まれていて楽しいです。西陣のデザイナーさんに脱帽、感謝です。
ヒールはオーダー時に大中小から選んだ上で、細かい要望を受けるようにしています。デザインに合わせて「お任せ」も歓迎です。ブーツだと、ヒールは大きく作るほうがバランスはいいですね。「手製らしさ」と「踏ん張り感」を意識して、アゴ(ヒールの前の部分)は少しだけ出すようにしています。
11/2/12 西陣ブーツ クローズアップ1
以前に紹介したシングルソールの踏まず部分はこんな感じに仕上がります。ボックスカーフのパンッと張った質感もあり、ぷっくりしたジョイント部との対比が気持ちいいです。
それにしても、木枯らしが身にしみます~
10/25/12 西陣シリーズ その2
西陣金襴シリーズ第2弾は、外羽根ショートブーツです。短靴よりもいろいろ合わせやすい気がします。場所柄、「龍馬を意識した?」と言われることもありますが、それよりも秀吉の意識が強いかも・・・・
10/20/12 ヒールを積んではみたものの
靴作りは底付け。特に意識しているわけでもないのですが、ヒールの積み上げには思い入れがあるようです。目立つ部分ですし、作り込みがいはあります。
形を決めてから仕上げていって、確認すると・・・・入りすぎ、気に入らない。
こういう時には、迷わず作り直し。ガラスで形を整えるところからやり直し。
これぐらいかな、と。コテを当てて、色を入れて引き締めていった後を想定して、納得。基本は真っ直ぐに見えるようにですが、画像じゃ分かりにくい・・・ ただ、毎年のように「お気に入りのヒール」が微妙に変わるのは、まあ、進歩と捉えましょう。
10/17/12 本底を加工します
掬ったら本底。紳士用の平コバでも踏まずの部分は少し削りこんで薄くします。シャンクも入っていて負担があまりかからないところですし、見た目のために手がかけられます。
靴のフォルムは、表情のある爪先から始まり、「ボン・キュッ・プリン」という流れなわけですが、本底の厚みが一定だと、「キュッ」のところで厚ぼったく見えてしまいます。「キュッ」のところは本底も「キュッ」。ちょっと気持ちいい。
内踏まず-外踏まずを「ウェスト」とも言いますね。婦人靴では爪先の方も縁を削いで、薄く見せます。何となく段差になって見えますが・・・
貼り込むと、木型の曲面に沿って自然な流れになります。ウェストを削り込んでおくと、ウェルトの収まりも良いですね。
10/16/12 掬い縫い
ハンドソーン・ウェルテッドの真髄、掬い縫い。
中底に作った溝から掬い針を刺し、中底~アッパー~ウェルトを一気に穿ちます。
貫通した穴に、内外から曲げ針(自作)を通します。
曲げ針についた糸を引きます。最後の引き締めには、念入りに梃子を使います。緩むと後で大変ですからね。
1目掬うのに結構なアクションが必要な上に、1足当たりの目数も結構なものです。波縫いみたいにチクチクチクっといけば楽なんですが。しかも出来上がると外からは見えませんし。でも、手がかかる分の利点は、履けば分かります。
続けて、踵のからげ縫いです。
10/10/12 頑張るシューレース
靴を履くたびにキュッと結ばれ、一歩ごとにキシキシと擦られ、一日中いじめられているのがシューレース(靴紐)です。
ポソポソになってくるとさすがに気になります。お勤めご苦労様です。
というわけで、交換。試着に使った新古品を流用して、もちろんパラレルで通します。きちんと靴を履いているならば、シューレースは消耗品です。
10/6/12 手縫い糸の先
手縫い糸は通常、数本の麻糸が撚られています。糸の先を一度ほぐし、撚りを戻して1本にまとめ、針を取り付けます。
縫いに負けないように、解けないように、強く、細かく・・・・
10/4/12 昨日の続き-ポリッシュ編
靴作りの最後の最後、アッパーの仕上げです。
まずは、余分なクリームを拭き取ります。穴飾りに塗りこんだクリームが周りに染み込んで、何となくアンティーク仕上げになってます。
ヒールとコバにワックスを乗せていきます。すでに熱をかけてろうを染み込ませてはあるのですが、更なるツヤを求めてポリッシュします。
ダブルソールでコバ面が広いので、よくワックスが乗ります。
木型を抜いてから、爪先と踵周りにワックスを乗せます。
ひもを通して完成です。バルキーなデザインにバルキーな仕様なのですが、きっちりポリッシュしてしまいました。「新品感」を意識するのですが、たっぷり手をかけるので、ちょっとした「馴染み感」が出てしまいます。それも「手製の味」かなと思っています。
手仕上げ? ええ、手仕上げですよ。
10/3/12 昨日の続き-クリームを入れます
デリケートクリームが入って、革の張りが戻りました。表面もつるんとして好感触ですが、木型が入っていて重いことともあいまって、取り扱い注意です。ここで落っことすわけにはいきません!
まずは、表面で乾いたデリケートクリームを拭き取ります。
乳化性クリームを入れていきます。まずは歯ブラシで穴飾りに塗り込めます。クリームが入りやすいタンニンの革にべちゃべちゃに乗せていますが、後で伸ばすので心配無用です。
ブラシで薄く伸ばしていきます。フルブローグあたりだと、穴飾りに入り損ねたクリームを使って、靴全体にクリームを入れることができます。
薄く、均等に、入れ損ねなく、あ、でも、ちょっと厚塗りになったかも。クリームが革にしっかりと入り込むように、一晩放置します。
最後に、使ったブラシ類に残ったクリームを掃除しておきます。バリバリに固まったクリームなんて、役に立たないどころか、革に引っかき傷をつけることもありますからね。
10/2/12 仕上げていきます・・・少しずつ
ちょっと間が空いて、靴が出来上がったので、最終仕上げに入ります。他の仕事との兼ね合いもあるので、日々少しずつ仕上げていきます。
まずはデリケートクリームを入れます。ストックしている間に革が渇き気味になっていますし、結構べっちゃり塗りこみます。クリームが染み込んで革が張る感じが気持ちいいです。今回は穴飾りがいっぱいあるので、クリームが乾くまで一晩放置します。
9/27/12 緑色のパスケース
先日注文いただいたパスケース。タンニンなめしの味が出る革に同色のステッチ。このモスグリーンは目を惹くようで、特に女性に人気があります。Dカンはストラップなどを着ける足場として便利です。
小物については、豊富に在庫を揃えてはいません。その代わり、時間をいただければ、お好みの革、ステッチでお仕立てします。今回のパスケースについてはもっと重要な要望が・・・・
通常のカードサイズよりもふた回りほど大きいものを仕立てました。電車の定期券などは規格のカードサイズですから、パスケースはその規格に合わせて量産されています。でも、中に納めたいのは規格サイズのものとは限りません。当工房は型紙作成からできますから、こういう量産に向かない仕事は得意の範囲です。お客様の希望に沿った物を作るのはとても楽しい仕事です。これはこれで、オンリーワンのオーダーメイド品です。
9/22/12 いつの間にやら
ヒールが仕上がってる! で、形を確認します。うん、まあまあ、いいんじゃないでしょうか。
9/19/12 ダブルソールの出し縫い
いくつかすべきことを確認しながらの朝、準備ができた靴と目が合ったので、「さあ、やるか!」 と。
シングルソールだと「スッ」と通る出し針が、ダブルだと「ぶっす~、ん、ん」としか進みません。力は要るし、リズムには乗れず時間はかかるし、針が折れないようにと緊張感はあるし・・・・でもダブルソールには独特の雰囲気があります。アッパーのデザインを選ぶ仕様だと思いますが、好きな人が多いのは分かります。
今回はごつい仕様に合わせて、#8ウィールで目付けしました。1インチに8目ですから、約3.2mmピッチ。ハンドでは粗いとされる間隔です。
9/14/12 お知らせ
明後日16日は2カ月ぶりに竜馬通り商店街の手作り市に参加します。人に会ってお話をするのが楽しみです。
そのかわりに、18日火曜日を臨時に休業します。たぶん仕事してますが・・・。
9月に入ってから、製甲+釣り込みが続いていて、ひと段落したところです。順不同でそれ以降の作業を着々と進めています。一番進んでいる靴には、出し縫いの準備をしたところです。
コルクの表面を叩いて”締めて”から、やすりで整えます。形は詰めるときに決めてますから、あくまでも表面を滑らかにするためです。
前半分にはろうを擦り込みます。靴がキュッキュッと鳴くのを防ぐためです。そういえば、京都に帰ってきてからは、靴が鳴いた覚えがありません。昔は自作の靴を履いていると、冬場にときどき鳴いてましたが、はて、腕が上がったせいか、冬の東京の乾燥のせいか。
底革を貼って切り回します。すでにウェルトはすでに形を決めていますから、それに合わせて、です。包丁がちびっこくなると、切れ味、砥ぎ味は良くなるので、なかなか捨てられません。
前の写真で、本底が薄いのは・・・・ミッドソールだから。つまりダブルソール仕様です。さらに本底を貼って切り回します。
形を整えて、一応確認を。最近は「丁寧な掬い縫い」を心掛けていて、靴底がきれいに決まっている雰囲気に納得です。
9/7/12 お客様? その2
今日は朝から縫製。軽い集中と最大集中を繰り返す一日・・・・ふと気付く、工房の壁に黒い影。
いつの間にやって来たのか、クマゼミ。子供の頃は憧れの虫でした。今ではアブラゼミとともに都会の二大勢力を誇っています。捕らえて外に連れ出すと、パッと飛び立ちました。
8/22/12 長財布を作ります
材料を裁断して厚みを調整したところで、何となく広げてみました。あまりの量に唖然。
8/9/12 夏季休暇について
[店舗]ページでお知らせしていますが、8月12日~16日にお盆休みをいただきます。
腰を据えて作りたい型紙が溜まっています。夏休みの宿題です・・・
7/26/12 夏本番
好きな工程とはいえ、さすがに暑いです。
7/6/12 シャンク加工
アルコールランプなんて使うことになるとは思わなかった。
6/25/12 西陣シリーズ その1 Ver.2
アデレードフルブローグは、素材により、仕様により、さまざまな表情に仕上がる・・・好みを表現しやすいので、当工房でも人気のデザインのひとつです。生地で仕立てると、スペクテーターよりもその面積が大きくなるせいか、豪華な感じになりました。
6/5/12 お客様?
曇っていても蒸し暑い、そんな日が続きます。ちょっと気抜けしそうな頃合に、お客様が工房にお見えになると、気が引き締まります。お昼時にやって来たお客様・・・スタイル抜群で格好良い! ですが、ご注文ではなさそうです。
距離を保っておけば問題ないですし、私は構わないのですが、他のお客様と衝突することになりそうなので、早々に退出いただきました。
5/26/12 西陣シリーズ その1のゼロ
ゼロ、つまるところ試作品です。生地の靴を作るに当たって、自身の葛藤以外に、外野からのご意見も多く、「履いてみないと分からない」という結論に至りました。縫製時の失敗あり、履いてみると問題アリなデザインありで、実用に応えられそうなのが、このフルブローグスペクテーターでした。後から考えると、コンビの定番スタイルですし、ま、いいか、と。
課題は耐久性です。生地ですから、革ほどの耐久性は望むべくもありません。ただ、どれぐらい実用に耐えうるか、雨が降らない日には履く! ぐらいのヘビーローテーションで履き続けています。現在、タンニンなめしの革がいい焼け具合にエイジングする一方で、生地のパリッとした新品感もなくなり、その使用感が「自分の靴」を主張するように育っています。
履いていると、新たな課題も見つかりました。サンプルには改善が施されています。他人がやらないことを実行しようとすると、本当に手間がかかります。耐久性ナシの実証は簡単ですが、耐久性に問題なし! の実証は難題です。実験と称して、今後も継続して履き続けます。とはいえ、小洒落た靴を履いて回るのは楽しみでもあります。
5/4/12 市切り
先日、川越さんの仕入れに便乗させていただきました。その時に、なぜか川越さんが市切りを物色していたせいもあって、自身の愛用品が気になってきました。市切りは、2枚の革を張り合わせて縫う際の重ね代を切る道具です。切る、刃物ですから、砥いで、砥いで、砥いで・・・・していくうちに形が変わってしまいます。で、何年かぶりに形を整える気になりました。
市切りの先にやすりをかけて形を自分好みに整えて、刃を砥ぎます。以前よりも研ぎやすくなった実感を得て、作業には満足です。そして実践!
気持ちよく滑るように市切りが走り、きれいに切れました。靴を1足作る間に、市切りの出番は1分にも満たないのですが、重要な専用道具です。手入れした市切りを使うために製甲がしたくなったりするゴールデンウィークです。
4/25/12 最近納品した靴から
ちょっと前にふらりとご来店くださった紳士から注文をいただきました。自分のファッションスタイルをちゃんと持っておられる方で、気に入っていただける靴を作ることができるか・・・少し緊張しました。選ばれたデザインはホールカット。「久しぶりのホールカット、ちょっと楽しみ」と軽く思っていたら、メダリオンを付けて、と釣り込みの難易度を上げられて、緊張が戻ってきました。
半張りをご希望されたので、これまた久しぶりのシモダスペシャル(詳細はユニオンワークスさんのブログを参照ください)です。格好良くレザーソールもいいのですが、実用的な仕様として半張りも結構なものです。先日納品したのですが、今日、このお客様がこの靴を履いて工房にお立ち寄りくださいました。「これ、ええわ!」との率直な感想と笑顔が作り手の励みです。本当にありがとうございました。
4/24/12 一気に・・・
臨時に工房を休みにして、あちこち行きながらバタバタと仕事をこなす一日でした。昨日から一気に暑くなって夏のようです。近所では、菊が一気に萎れていました。
水やりが足りないとかではなく、キクスイカミキリの仕業です。暑さで一気に活動を開始した模様。人にとっては害虫に他ならないのですが、この一生懸命に生きている生命感が好きです。
4/10/12 暖かくなりました
今日は春めいた陽気に、満開の桜につられてふらり散歩。近所でたまたまドラマか何かの撮影をしていました。この時期の京都はどこでもロケが多いんでしょうね。
4/1/12 新年度
年度の切り替えに際し、革小物とリンクのページを追加しました。
4月8日は、近所で「桜まつり」が開催されます。当工房も開けておきますので、お気軽にお立ち寄りくださいませ。
3/26/12 長財布
小物を持って表に出かけ、以前から求められていたのが長財布です。技術的要素、機能的要素、デザイン的要素を時間をかけて煮詰め、ようやく納得できる形になりました。
3/26/12 西陣シリーズ その1の2
西陣金襴フルブローグスペクテーターの色違いです。タンニンなめしの革を使うとエイジングが著しいので、生地とのコントラストがどのように変化するか・・・・
3/21/12 西陣シリーズ その1
西陣織の金襴(きんらん)を使ったフルブローグスペクテーター。黒のボックスカーフとの組み合わせだとたいていの生地が合いますね。製作を志してからここに紹介するまで、随分と時間がかかってしまいました。
3/18/12 雨の手作り市
今日は・・・時折降る雨の中、手作り市を強行。無理もあったと思いましたが、出展者はそれぞれに楽しんでいたようです。私の場所はたまたま元店舗の軒にあり、雨を気にせずにお客様との出会いを満喫することができました。
3/13/12 手作り市のお知らせ
今週末3月18日の日曜日に竜馬通り商店街の手作り市が開催されます。冬季のお休みを経て、今年の事初めです。天気が良いことを願いつつ、今回も参加予定です。ウチの商品と露店という形態はマッチングが悪いことは分かっているのですが、出店する皆さんのレベルが高いこともあって、毎回、結構楽しんでいます。
2/29/12 縫製が大変なことになりました
今日は朝から縫製です。工房に入りづらいと不評の、北向き扉の窓からの柔らかい光が、検革、裁断にはとても都合が良いです。1年がかりで開発してきたデザインが最終形に近づきつつあります。細かいし時間はかかるし、縫製が大変になってきました。一方で、その手間が人には伝わりにくいし・・・ただ、ミシンの調子が普段以上に良かったことが救いで、気持ちよく作業ができました。
2/28/12 また行ってきました
昨日、工房の休みを利用して、また行ってきました。ここのところ、月1かわごし詣でになっています。日曜日に休み返上で用意して、以前から興味津々だった八方ミシンを触らせてもらいました。行くとちょうど作業していた(気遣いありがとうございます)ので、気が散らないだろう程度に見る。見て覚える。で、作業後に、見よう見まねで、失敗覚悟で、自分でやってみる。縫えた。縫えたけど、最初からうまくはいかんわな。川越さんの指導を仰ぎながら、しばらくいろいろやってみて、つい「満足した!」。やってみると、いろいろ発見があって面白かったです。何より、第一線で稼動している機械を扱っておくことは、今後どこかで同じ機械に触れるときに活用できます。八方ミシン自体、どこにでもあるものではないですし、こんなチャンスをくださった川越さんに感謝感謝です。
2/21/12 また浅草に行ってきました
いろいろ思うところがあって、浅草に行ってきました。細々とした資材・材料の調達をして、ちょっと革屋さんを困らせたりして、向かったのはTYE Shoe Makerさんです。何ソレ、ですが、ここは靴学校の同級生の大野さんと島村さんが運営しているビスポークメゾンなのです。
普段から連絡を取っていますし、互いにウェブ上で近況が分かるので、あまり気にしていなかったのですが、彼らと会って話をしたのは実に3年ぶりでした。が、会えば、当たり前のように靴+革小物談義。私製作の小物(試作品)を手に取っては「いくら? 安い!」の連発を食らったあげく、本題の足元へ・・・ さあ始まりました靴談義、ではなくて、ダメ出しの嵐! 試作品の諸問題というのは長い目で見ると共通の課題ですから、一緒に考えてくれる。改良の方向性を話し合って、彼らの型紙(門外不出だろ、いいのか?)まで見せてもらったり、気分は学生の頃に戻ったようです。おかげで今後の目星が立ちました。こういう遠慮なく意見交換できる友人は本当にありがたい。明日への元気をもらいました。
2/17/12 かばんも?
しばらく更新できていませんでしたが、最近は現在・過去・未来に振り回されて大混乱していました。手元の仕事(現在)は常々ですが、そもそも2011年に開発してきた靴の総まとめ(過去)サンプルを作っている中で諸々の改善点を発見して、作業中に次なる作品(未来)のちょっとした思いつきもあって、靴作りだけで頭いっぱいです。昨年は小物も作るようになって、作りたいけれど放置されている構想もあって、混乱に拍車をかけています。
そんな中、今日は鞄の納品が1件ありました。鞄? なのですが、私用に作って使っている小さなショルダーバッグがやたら評判がいいので商品化したものです。
ベジタブルタンニンなめしの革らしい雰囲気を生かして、「財布、文庫本、プラスアルファを放り込んでどこに行こう?」をコンセプトに、「箱」を意識して手縫いしました。マチがあるので、案外入ります。
工房では棚に置いてあるので、「鞄も作るんですか?」と尋ねられることもしばしばですが、在庫している革の都合もあり、とりあえず小さな物ぐらいは、という感じです。作り始めると、次々に構想だけは出てくるので、少しずつ実体化しています。
気が向いたときに仕立てていますので、在庫はいくつか用意があります。また、この形からの派生はいろいろできると思いますので、デザイン変更や小改造など気軽にお問い合わせくださいませ。今回の納品もそのような”注文鞄”でした。が、撮り忘れました・・・・
1/22/12 お財布
外に出て小物を並べていると、とかく財布、財布と言われることが多いので、2つ折り財布を新規に開発して、販売しています。
表には靴に使うフレンチカーフを、裏にはライニングレザーを使った2つ折財布です。小物職人さんから見ると問題があるかもしれませんが、この革の質感や手触りはやはり魅力的です。私も試作品を使っていて、買い物のたびにその感触を楽しんでいます。
1/17/12 ご注文ありがとうございました
最近製作・納品した靴からひとつ。
フィッティングは悪くなかったのでパターンオーダーでのご注文です。材料や仕様を決めて、最後にひとつご要望をいただいきました。
「コバを攻める」。ウェルテッドなんだからコバは出したい・・・というサンプルがほとんどなのですが、その中で、最初に遠慮なく言っていただいたほうが良い仕様です。訪問の際にはいつも工房が散らかっていて申し訳ないと思いつつ、かえって開き直ってお話がしやすかったこともあり、ご要望に沿った形を目指しやすかったです。受注生産の面白み、だと思います。靴と対面したときのお客様の表情、感想が代金以上の報酬です。本当にありがとうございました。
1/5/12 パソコンづくし
正月休みを利用して、事務処理やホームページの見直しなどで、昨日から2日間パソコンづくしで目も頭も疲れ気味です。作ることができるデザインが増えたので、大勢に影響がない程度で価格も少し見直しました。手を動かしたい。明日の仕事始めがスムーズに進みそうです。
1/2/12 謹賀新年
新年明けましておめでとうございます。本年もご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
年末は少しゆっくりと、ではなくて、お気に入りの手縫い用の針を買いに行ったり、雪の降る中に竹を切りに行ったり、やっぱり製作から離れられないでいました。今年も手間を惜しまず、汗をかいていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。